敦賀市都市政策課にインタビュー

氣比神宮前にキッチンカー集団!?国8空間では今何が起きている?



年間70万人以上、コロナ禍の昨年も55万人以上が訪れたという県内トップクラスの観光地が敦賀にある氣比神宮です。その目の前の交差点には、先月から、突如たくさんのキッチンカーがやってくるようになりました。これらがなぜ急に現れたのか、また次はいつ現れるのか?気になっている方も多いのではないでしょうか?


そこで今回は、国道8号空間の利活用を担当する敦賀市都市政策課の三輪さんと北村さんに「キッチンカーの謎」を明らかにしていただきました。


(左)北村さん(右)三輪さん


自由に使える歩道を目指して


国道8号の歩道は、国が管理する道路。そもそも、道路には通行を妨げる物を置いてはいけないという法律がありますが、なぜここにキッチンカーが出店できるのでしょうか?そこには、歩行者利便増進道路制度(ほこみち)という国の新しい制度が関係しているようです。


三輪さん:『ほこみち』とは、国が指定した道路の中の指定した特例区域内であれば、歩道空間ににぎわいを作ったり、カフェやベンチを置いて滞在させたりが可能となる制度です。昨年11月から始まり、大阪市、神戸市、姫路市などでは制度を利用して、歩道上にウッドデッキを置いたりと、「みち」からの「まちづくり」が始まっているんですよ。

敦賀市では、国道8号の歩道をほこみちとして指定してもらうために、国と協力しながら社会実験をしています。その一貫ではじまったのが、福くるキッチンカー』というキッチンカー団体さんによる出店です


北村さん:ほこみち』として指定を受けるためには、まずは区域とルールを作らなければなりません。しかし、それらを作るためには、やってみないとわからないことが多すぎて。そこで、市が主体となって社会実験を行う許可を国からいただきました。

現在は、市が行う事業や、市が支援する団体の事業であれば特例として歩道の活用ができます。社会実験を繰り返すことで、歩道を利用する上での注意点や課題をあぶり出しているのです。将来的には「あそこにいけば常に何かやっている」という空間を目指しているので、なるべく連続性のある活用をしてもらいたくて。『福くるキッチンカー』さんは毎月第二土曜日の10時から17時までと、定期的な利用を申し出ていただき、4月から出店が始まりました。


■広がる社会実験


社会実験といえば、昨年秋に開催されたイベント『国8空活』。予想来場者数3000人に対して結果はおよそ7000人と大盛況に終わりました。他にも、さまざまな社会実験が市民の声から生まれているようです。

昨年行われた『国8空活』。国道に楽しい音楽響き渡りました。
フードコーナーでは予想以上の売れ行きに品切れ続出!



三輪さん:『国8空活』は、歩道ができたばかりでしたので、まずは使って見せることで、「自分だったらこう使いたい!」と新しいアイデアが生まれることを期待して開催しました。おかげさまでたくさんの人にご来場いただき、とても盛り上がりましたが、その分満足度も高くて課題抽出が難しいところもありました。

その後は、本町一丁目商店街が『青空会議』と題して、歩道に机と椅子を並べて会議したり、本町二丁目商店街では、ラジオの公開生放送ステージと休憩施設を設置したりと、いろいろな活用事例が少しずつ生まれています


北村さん:実は、歩道の新しい活用を応援するための補助金もあるんですよ。

1つは、市民協働課から出ている市民協働事業補助金交付事業。これは、3人以上の団体が応募できる補助金で、「『敦賀市の公共空間利活用』の促進」というテーマで8号空間の活用が盛り込まれています。もう1つは、敦賀商工会議所が出している、キッチンカーの購入や改造をサポートする補助金*です

※募集は6月15日まで


チャレンジしたい!と思った時にサポートしてくれる制度があるのは、とても心強いですね。サポート体制は補助金だけではないようです。


北村さん国8は、国の道路占用許可が必要なため、現時点では団体でしか活用ができませんが、実は国8の歩道に隣接した『お砂持ち神事の像』周辺は市が管理する公園なので、ここなら個人の方でもご利用いただけますよ。GW中に開催した『Tsuruga Free Music』も、そういう形で実現しました。他にもアイデアに合わせて場所も使い方も一緒に考えていくので、まずはやってみたいことがあったら相談して欲しいです!

Tsuruga Free musicでは「お砂持ち広場」に音楽好きの方が自由に演奏できるPA機材が出現。

これからどうなる?国8空間


社会実験として、広くなった国道8号の歩道の活用事例が少しずつ増えていることがわかりましたが、気になるのは今後の展開。これからどんなことが起こるのでしょうか?

GWには、ラグジュアリーなソファも出現しました。

三輪さん:今はキッチンカーの台数が徐々に増えるなど、毎回少しずつ変化がありますが、今後は「どういう人を巻き込んでいくか?」などで、もっと変化をつけていきたいです

あとは、商店街との連携です。キッチンカーと商店街のお店の共存共栄を目指して、連携を広げていきたいです。たとえば、8号空間のオープニングの時には、『神楽テント』という神楽商店街の品物を並べたテントをキッチンカーの横に置いてもらったんです。商店街に何があるか一眼でわかるので、特に市外のお客さんに手軽に紹介できて好評でした。商店街の方にもうまく歩道空間を活用していただきたいです。


北村さん:都市政策課としては、今年はアートをキーワードとしてを絡めていきたいと考えています。敦賀市には公民館の自主学習教室で、絵画やダンス、写真などの創作活動をしている方が多いんです。そういった活動を発表する場所を作れないかと考えています。今年の『国8空活』では、美術関係の学生の作品を展示したり、有名アーティストとコラボしたりするのもいいですね。普段商店街に立ち寄ることのない人に関わっていただけるような、裾野を広げていく活動がしたいです。


昨年から、市内各地で多くの社会実験が行われる敦賀市。先月には敦賀駅西地区の複合施設の竣工式が行われるなど、新幹線開業に向けた受け皿づくりとして、各地で「空間」の整備が進んでいます。それに合わせて、各所で新しい活動をする「プレーヤー」の募集が盛んになっているようです。


広い歩道を活用して、あなたならどんなことをしてみたいですか?

空間で何かしてみたいという団体等の方は、まずは都市政策課に相談してみてくださいね。